事業承継と相続について

弁護士 関口 久美子 (せきぐち くみこ)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号43125)
保有資格 / 弁護士

相続において、事業会社の経営者や個人事業主は「事業をどう引き継いでもらうか」と「親族に対する相続をどう行うか」とを、相互に関連させて考える必要があります。

事業の状況・規模や後継者の有無などの状況に合わせて、様々な方法の中から最適なものを選択する必要があります。

ここでは事業承継の方法と、特に親族への承継と相続についてのポイントを、わかりやすく解説していきます。

当事務所では相続問題の経験が豊富な男女4人の弁護士が、チームを組んで事務所全体で問題を解決します。

事業承継の準備、特に相続がからむ親族への承継は早期の対策と方針策定がとても重要です。

相続問題を多数解決してきた当事務所には、実績に裏打ちされた事業承継のノウハウが蓄積されています。

どうぞお気軽に私ども相続の専門家にご相談ください。

事業承継とは

事業承継とは、文字通り「事業を承継させる(引き継がせる)」ことです。

後継者へ承継させる、事業を法人へ引き継ぐ等、いくつかの方法があります。

事業承継の3つの方法

事業承継には、大きくわけて3つの方法があります。

  1. 後継者への承継
  2. M&A等(吸収合併や事業売却)
  3. 上場

それぞれについて解説していきます。

(1) 後継者への承継

後継者に事業を承継させる方法です。

後継者が事業主もしくは代表者の親族か、第三者である役員や従業員かで意味合いは大きく変わります。

①後継者が親族の場合
実際、多くのケースで親族への事業承継が行われています。
後継者が親族の場合、事業用財産の継承は相続財産の継承に重なる部分があるので、事業継承は相続と関連させて考える必要があります。

②後継者が第三者の場合
会社の役員や従業員といった立場の人で、親族でない人を後継者に置き、事業を承継させるケースが増えています。

第三者に継承させる場合、継承先との関係においては相続の問題にはなりません。

しかし継承させる財産については、経営者の相続人の意向(特に相続人の最低限の取り分である遺留分についての意向)を無視できません。

ある程度相続対策も行っておく必要があるでしょう。

M&A等(吸収合併や事業売却)

M&Aとは、企業の合併や買収のことです。

方式としては、吸収合併、株式の取得や移管、事業譲渡、会社分割や合併などがあります。

今の事業や会社そのものを売却し、引き継いでもらう形になります。

この場合、相続との関連について直接考える必要性は薄いといえます。

上場

会社を上場すれば、経営者本人の個人補償や担保提供することは事実上なくなります。

会社そのものの財産で事業が継続していくためです。

また、上場するほどの規模になれば、経営者候補となる人材の確保も容易になります。

しかしデメリットもあります。

そもそも上場は証券取引所の審査を通過しなければなりません。

中小企業にとってはハードルの高い事業継承方法です。

後継者(親族)への事業承継と相続の関連

親族を後継者として事業継承を行うためには相続との関係を考慮しなければなりません。

事業用財産はできるだけ後継者に集中して継承することが事業の安定につながります。

しかし一方で、事業用財産の中で現経営者個人に属するものは、相続対象財産でもあります。

ですから後継者に集中して継承させることは相続の際のトラブルとなる可能性もありますので、その点の配慮が必要です。

事業用資産の分散を防ぐためにこの点を考慮しつつ、以下の方法を検討しましょう。

  1. 生前贈与
  2. 遺言
  3. 遺留分の生前放棄

以下、それぞれについて解説します。

① 生前贈与

事業用資産を少しでも経営者の生前に、後継者に贈与する方法です。

この方法であれば「事業承継税制」と呼ばれる優遇制度が利用できる可能性があります。

この優遇制度が適用できれば生前贈与にかかる贈与税と相続税が猶予されるほか、経営者の死亡等があれば贈与税・相続税の免除が受けられます。

適用には様々な条件がありますので、専門家である税理士や、税理士と提携している相続問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

② 遺言

遺言によって、経営者の事業用財産を後継者に引き継がせる方法です。

比較的簡単な方法といえますが、他の相続人から不満の出ないように配慮しないとトラブルに発展する恐れがあります。

相続のトラブルから事業継承が進まず、事業継続に支障が出る恐れもあります。

遺言作成時に弁護士等の専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

③ 遺留分の生前放棄

事業用資産を後継者に引き継がせるにあたり、他の相続人から事前に相続人の最低限の取り分である遺留分を放棄してもらう方法があります。

この方法を「遺留分の生前放棄」といいます。

この方法は家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所が許可するには、以下の条件に当てはまる必要があります。

  1. 遺留分放棄が(遺留分を放棄する)本人の意思であること
  2. 放棄の理由に合理性や必要性が認められること
  3. 遺留分を放棄するにあたって、同等の代償があること

この条件に当てはまるかどうかの判断には法律の専門知識が必要ですので、弁護士に相談しましょう。

遺留分に関する民法の特例

株式の分散を防ぐため自社株式を後継者に生前贈与等をする場合、遺留分に関する民法の特例(経営承継円滑法において創設されている制度)が適用できることがあります。

先代経営者が後継者に贈与等した自社の非上場株式が一定の条件を満たせば、以下のいずれかの措置を執ることができます。

  • 除外合意
    遺留分算定基礎財産から、贈与された自社株を除外(遺留分算定基礎財産に含めない)
  • 固定合意
    遺留分算定基礎財産に含める贈与された自社株の評価額を、合意時に固定

民法の特例を受けるための条件

  • 会社について
    合意時点において、3年以上継続して事業を行っている非上場企業であること
  • 現経営者について
    現経営者(法律上の「旧代表者」)が過去又は合意時点で会社の代表者であること
  • 後継者について
    ・後継者が合意時点で会社の代表者であること
    ・現経営者(旧代表者)からの贈与等により、後継者が会社の議決権を過半数保有していること

民法の特例を受けるための手続き

  1. 推定相続人全員の合意書の作成
  2. 経済産業大臣へ申請、確認を受ける
  3. 家庭裁判所に申し立て、許可を受ける

まとめ

事業承継と相続は、多くの場合関連させて方法を検討する必要があります。

その準備は、早ければ早い方が様々な選択肢があります。

相続問題を数多く取り扱ってきた当事務所へどうぞご相談下さい。

当事務所は相続問題に詳しい男女合計4人の弁護士が、チームとなって相続問題に取り組みます。

税理士をはじめ他の士業との連携も十分であり、満足のいく形での事業承継のお手伝いをいたします。

気軽に相談していただけるよう、夜9時まで電話を受け付けています。

またわかりやすく費用を設定しており、支払い方法も個々の状況に合わせ柔軟に対応します。

初回相談は60分まで無料ですので、どうぞ気軽に当事務所までご相談ください。

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