特別縁故者とは-相続人が誰もいない場合の相続手続
亡くなった人に相続人が誰もおらず遺言書もない場合、相続財産は最終的に国のものとなりますが、特別な関係にあった人が相続できる場合があります。
この特別な関係を「特別縁故者」といいます。
ここではその「特別縁故者」が相続を受ける手続きについて、わかりやすく解説していきます。
当事務所では相続問題の経験が豊富な男女4人の弁護士が、チームを組んで事務所全体で問題を解決します。
当事務所の大きな特徴です。
特別縁故者として相続を受けるケースは非常に珍しく、その判断や手続きには専門知識が必要です。
どうぞお気軽に私ども相続の専門家にご相談ください。
特別縁故者とは
特別縁故者とは、被相続人(亡くなった方)に法定相続人がいない、かつ遺言により相続の指定がない場合に相続が認められる「被相続人と特別の関係にあった人」のことです。
「法定相続人がいない」とは、文字通り法定相続人が存在していない場合の他に、法定相続人すべてが相続放棄を行った場合を含みます。
特別縁故者になれる者
特別縁故者となれる者は、民法で明確に規定されています。
なお、個人だけでなく、公益法人や学校法人といった法人も特別縁故者になれます。
【特別縁故者となれる者】
- 被相続人と生計を同じくしていた者
- 被相続人の療養看護に努めた者
- その他被相続人と特別の縁故があった者
被相続人と生計を同じくしていた者
内縁の妻や夫、事実上の養子や養親が当てはまります。
被相続人の療養看護に努めた者
被相続人の看護や介護にあたった者が該当します。
ただし仕事としておこない、報酬を得ていた看護師、介護士等は該当しません。
その他被相続人と特別の縁故があった者
遺言は残されていないが、仕事や芸術活動などの師弟関係にあった人、被相続人が生前経営者としてかかわった法人など、生前に特別の関係にあったと認められるケースが該当します。
特別縁故者として財産分与請求をおこなう手続き
具体的な手続は以下の通りとなります。
(1)相続財産管理人の選任の申立て
(2)相続財産管理人の選任と公告
↓ 2ヶ月後
(3)相続債権者または受遺者への請求申し出の公告と催告
↓ 2ヶ月後
(4)相続人の捜索の公告
↓ 6ヶ月以内
(5)相続人不存在の確定
↓ 3ヶ月以内
(6)特別縁故者による相続財産分与の申立て
(7)特別縁故者の認定
以下、それぞれについて詳しく説明します。
(1) 相続財産管理人の選任の申立て
最初に、相続人が不存在であることを確認するため相続財産管理人を選任してもらいます。
①申立人
利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者等)または検察官
②申し立てをする先
被相続人の最終住民票所在地を管轄する家庭裁判所
③申立て費用
- 収入印紙(申立書貼付分800円)、郵便切手(数千円、裁判所ごとに違います)
- 官報広告料4153円
そのほか、相続財産管理人の報酬相当額をあらかじめ納める必要がある場合があります(20万円~100万円)
④提出書類
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 他に法定相続人がいないことが確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している者がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している者がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・代襲者としての甥姪で死亡している者がいる場合、その甥又は姪の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 - 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
- 被相続人の財産に関する資料
不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等など - 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証明する資料
戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写し等) - 財産管理人の候補者がある場合には、その住民票又は戸籍附票
(2) 相続財産管理人の選任
家庭裁判所が選任します。
特に必要な資格はありませんが、多くは弁護士や司法書士が選任されています。
選任されれば、官報で公告されます。
(3) 相続債権者または受遺者への請求申し出の公告と催告
相続財産管理人選任の公告から2ヶ月を経ると、相続財産管理人は相続債権者又は受遺者にその請求を申し出るよう催告の公告を行います。
この間に相続財産の換価を行い、相続債権者(被相続人の債権者など)や受遺者(遺贈を受けた人)がいれば清算します。
(4) 相続人の捜索の公告
上記(3)の公告より2か月を経ると、家庭裁判所が相続財産管理人または検察官の請求によって6カ月以上の期間を設定した「相続人がいる場合には、相続人は権利を主張しなければならない」旨の公告を行います。
(5) 相続人不存在の確定
設定された期間内に誰からも申し出がなかったか、あるいは申し出があったとしても無効だった場合には、相続人不存在が確定します。
(6) 特別縁故者による相続財産分与の申立て
次に特別縁故者として、財産分与を受ける申し立てを行います。
①申立人
特別縁故者が申し立てます。
②申し立てをする先
被相続人の最終住民票所在地を管轄する家庭裁判所
③申立て費用
収入印紙(申立書貼付分800円)
郵便切手(裁判所ごとに違いがあります)
④申立期間
相続人の不存在が確定してから3か月以内
⑤提出書類
- 申立書
- 申立人の住民票又は戸籍附票
※ 審理のために必要な場合は、追加書類
(7) 特別縁故者の認定
特別縁故者として認定されれば、相続財産の分与が受けられます。
特別縁故者が相続した場合の相続税
特別縁故者として相続した場合、以下の注意点があります。
- 法定相続人1人当たりの控除額600万円は適用されません。
- 配偶者の税額軽減、相次相続控除、障碍者控除も適用を受けられません。
- 相続税額の2割が加算されます。
まとめ
特別縁故者として相続を受けるには、相続財産管理人を選任しなければなりません。
その前に膨大な戸籍を全て収集し分析して相続人不存在を確認しておく必要があります。
相続問題を数多く取り扱ってきた当事務所へどうぞご相談下さい。
当事務所は相続問題に詳しい男女合計4人の弁護士が、チームとなって相続問題に取り組みます。
資料収集から申立てまで、ワンストップでお手伝いすることが可能です。
気軽に相談していただけるよう、夜9時まで電話を受け付けています。
またわかりやすく費用を設定しており、支払い方法も個々の状況に合わせ柔軟に対応します。
初回相談は60分まで無料ですので、どうぞ気軽に当事務所までご相談ください。