法定相続分とは-誰がどれくらいの割合なのか-
有効な遺言書があれば、相続は原則としてその遺言書の内容に従っておこなわれます。
しかし、遺言書そのものが無かった場合や、不備があって遺言書が有効とは認められなかった場合のために、民法(相続法)は相続人となる人とその相続割合を定めています。
今回はその相続法の規定を具体的に解説していきます。
当事務所では知識と経験を蓄えた男女4人の弁護士が、様々な相続問題を担当以外の弁護士も加わって共同で解決しています。
相続人が法律で認められた相続分を求めることは、相続人の権利として認められています。
少しでも不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
法定相続分とは
法定相続分とは、被相続人(亡くなった人)の財産を相続人が相続する際の相続割合のことをいいます。
これは民法(相続法)で定められています。
ちなみに相続人が一人しかいない場合は、その相続人が全てを相続するので、法定相続分を考慮する必要はありません。
相続人が複数いる場合の、相続割合の基準と考えればいいでしょう。
遺言書がなければ相続人全員による話し合い(遺産分割協議)がおこなわれます。
この遺産分割協議がまとまればその内容で遺産分割が決定します。
まとまらなければ裁判所が関与し調停や審判がおこなわれます。
いずれの場合にも、相続割合の基準となるのが、この「法定相続分」です。
法定相続人になる範囲とその順位
法定相続人になることができる人とその順位が、以下のように定められています(民法886条以下)。
順位 | 法定相続人 |
---|---|
常に相続人 | 被相続人の配偶者 |
第1順位 | 被相続人の子 (子が相続時すでに死亡しているときは孫) |
第2順位 | 被相続人の父母 (父母が相続時すでに死亡しているときは祖父母) |
第3順位 | 被相続人の兄弟姉妹 (兄弟姉妹が相続時すでに死亡しているときはその子:甥・姪) |
配偶者は常に相続人になります(民法890条)。
配偶者とあわせて、順位が一番上の者が相続人となります。
上位の者が相続人となれば、それより下位の順位の者は相続人とはなりません。
たとえば、
・配偶者がいる場合
配偶者と第1順位(被相続人の子)がいるとき
→その双方が相続人となり、第2順位以降は相続人となりません。
配偶者がいて、第1・第2順位がいないとき
→第3順位(被相続人の兄弟姉妹)がいれば、配偶者と第3順位が共に相続人となります。
・配偶者がいない場合
配偶者がいなければ、順位の一番上位の者のみが相続人となります。
第1順位がいれば第1順位のみが相続人となり、第2順位と第3順位がいれば、第2順位のみが相続人となります。
ただし、気をつけるべき点があります。代襲相続です。
相続開始時に第1順位と第3順位の者が既に死亡しているときでも、第1順位と第3順位に子がいる場合、その者が相続人となります。
このことを代襲相続といいます。
たとえば、第2順位についてはその父母が両方とも死亡しているときに祖父母がいれば、その者が相続人となります。
法定相続人ごとの相続分
配偶者と他の法定相続人との相続割合は、以下の通りです。
相続人 | 配偶者の相続割合 | 他の相続人の相続割合 |
---|---|---|
配偶者のみ | すべて | |
配偶者と第1順位がいる場合 | 2分の1 | 2分の1 |
配偶者と第2順位がいる場合 | 3分の2 | 3分の1 |
配偶者と第3順位がいる場合 | 4分の3 | 4分の1 |
同順位に複数の者がいる場合は、均等に分割されます。
法定相続分の具体例
代表的なケースの具体例は以下の通りです。
配偶者と子ども(孫)
相続人 | それぞれの相続割合 |
---|---|
配偶者と子1人 | 配偶者:2分の1 子:2分の1 |
配偶者と子が3人 | 配偶者:2分の1 子:2分の1÷3人=一人当たり6分の1 |
配偶者と孫が5人 | 配偶者:2分の1 孫:2分の1÷5人=一人当たり10分の1 |
配偶者と子1人、 相続前に死亡した子1人の子(孫) |
配偶者:2分の1 子:4分の1 孫:4分の1(代襲相続) |
配偶者と父母(祖父母)
相続人 | それぞれの相続割合 | |
---|---|---|
配偶者と父母2人 | 配偶者 | 3分の2 |
父母 | 3分の1÷2名=一人当たり6分の1 | |
配偶者と祖母が1人 | 配偶者 | 3分の2 |
祖母 | 3分の1 | |
配偶者と母が1人、祖母が1人 | 配偶者 | 3分の2 |
母 | 3分の1 | |
祖母 | なし |
配偶者と兄弟姉妹(甥・姪)
相続人 | それぞれの相続割合 | |
---|---|---|
配偶者と兄1人 | 配偶者 | 4分の3 |
兄 | 4分の1 | |
配偶者と妹2人 | 配偶者 | 4分の3 |
妹 | 4分の1÷2人=一人当たり8分の1 | |
配偶者と弟1人、 相続前に死亡した妹1人の子(甥・姪)が2人 |
配偶者 | 4分の3 |
弟 | 4分の1÷2人=一人当たり8分の1 | |
甥・姪 | 妹の相続分(4分の1÷2人)÷2人 =一人当たり8分の1(代襲相続) |
|
配偶者と子1人、相続前に死亡した子1人の子(孫) | 配偶者 | 4分の3 |
子 | 4分の1÷2人=8分の1 | |
孫 | 子の相続分(4分の1÷2人) =8分の1(代襲相続) |
相続人になれないケース
内縁の夫、離婚した元配偶者や再婚相手の連れ子、法に触れる行為をして相続権がはく奪された者や被相続人によって相続権をはく奪された者等、相続人になれないケースがあります。
法定相続分のまとめ
遺言書がなければ上記を一つの基準として、話し合いや調停、審判をすすめていくことになります。
相続問題は相続人それぞれの感情がからむことが多く、単に法律に従った原則論ではなかなか解決できないものです。
少しでも不満があったりわからないところがあったりするのであれば、相続問題の専門家である弁護士へ相談して下さい。
当事務所の特徴
相続問題は法令や判例などの深い法律知識と裁判や審判での十分な経験が必要な業務です。
当事務所は相続問題に対し、十分な知識と経験を持った男女合計4人の弁護士がチームとなってあなたの相続問題に対処します。
担当する弁護士以外も含めた複数の弁護士で協議し、一つの案件に対して事務所全体で事件にあたります。
また、相続に関わる関係者の感情的なもつれを可能な限り解きほぐし、依頼者の方が金銭面だけでなく精神面でも納得する解決を目指します。
相談される際のハードルを少しでも低くするため費用をわかりやすく設定しており、支払い方法も柔軟に対応しています。
相続問題はこじれてからでは更に労力がかかります。
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