生命保険と相続 – 受取人指定が与える影響と相続税の関係

弁護士 関口 久美子 (せきぐち くみこ)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号43125)
保有資格 / 弁護士

はじめに

生命保険は、万が一の場合に備えて加入するものですが、実は相続とも密接な関係があります。生命保険金の受取人指定は、相続に大きな影響を与える可能性があり、また、生命保険金と相続税の関係を理解することも重要です。本コラムでは、生命保険と相続の関係性について詳しく解説します。

生命保険は、被保険者が死亡した際に、あらかじめ指定した受取人に保険金が支払われる仕組みになっています。この受取人の指定によって、相続における財産分配に影響が生じることがあるのです。また、生命保険金は相続税の計算に含まれますが、一定の条件を満たせば非課税となる場合もあります。

このように、生命保険と相続は切っても切れない関係にあります。生命保険を活用した相続対策を考える上で、これらの関係性を正しく理解することが重要になってきます。以下では、生命保険金の受取人指定や相続税との関係について、詳しく見ていきましょう。

生命保険金の受取人指定

受取人指定の重要性

生命保険の加入時には、保険金の受取人を指定する必要があります。受取人とは、被保険者が死亡した際に保険金を受け取る権利を持つ人のことです。受取人は、相続人の中から指定することも、相続人以外の人を指定することも可能です。

受取人の指定は、加入時に行うことが一般的ですが、保険期間中に変更することも可能です。ただし、保険会社によっては、受取人変更に条件がある場合もあるので注意が必要です。

受取人指定は、相続における財産分配に大きな影響を与えます。特定の相続人を受取人に指定した場合、その相続人は他の相続人よりも多くの財産を受け取ることになるでしょう。一方、相続人以外の人を受取人に指定した場合、生命保険金は相続財産に含まれないため、相続人間の遺産分割には影響しません。

受取人指定の方法と種類

受取人指定には、「指定受取人」と「変更可能な受取人」の2種類があります。指定受取人は、一度指定すると変更できませんが、変更可能な受取人は、後から変更することができます。

指定受取人は、被保険者の死亡時に確定する受取人のことを指します。この場合、受取人を変更することはできません。一方、変更可能な受取人は、被保険者の生前に受取人を変更することが可能です。ただし、保険会社によっては、受取人変更に条件がある場合もあります。

また、受取人指定の方法としては、「法定相続人」「指定相続人」「任意の人」の3つがあります。法定相続人とは、民法で定められた相続順位に基づく相続人のことを指します。指定相続人とは、法定相続人の中から特定の人を指定する方法です。任意の人とは、相続人以外の人を受取人に指定する方法を指します。

受取人指定が相続に与える影響

受取人指定は、相続に大きな影響を与えます。例えば、受取人を特定の相続人に指定した場合、その相続人は他の相続人よりも多くの財産を受け取ることになります。このような指定は、相続人間の公平性を欠く可能性があるため、注意が必要です。

一方、受取人を相続人以外の人に指定した場合、生命保険金は相続財産に含まれないため、相続人間の遺産分割に影響を与えません。ただし、このような指定は、相続人の納得を得られない可能性もあるため、十分なコミュニケーションが必要です。

また、受取人指定は、相続税の計算にも影響を与えます。生命保険金は相続税の課税対象となりますが、受取人が法定相続人である場合、一定の非課税枠が適用されます。したがって、受取人指定は、相続税の節税対策としても重要な役割を果たすのです。

生命保険金と相続

生命保険金と相続財産の違い

生命保険金は相続財産に含まれない

生命保険金は、被保険者が死亡した際に受取人に支払われるものであり、相続財産とは異なります。相続財産とは、被相続人が死亡した時点で所有していた財産のことを指します。

生命保険金は、被保険者の死亡によって初めて発生する財産であり、被相続人の財産ではありません。したがって、生命保険金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象にもなりません。

ただし、生命保険金は、相続税の課税対象となります。生命保険金を受け取った受取人は、相続税の申告が必要になる場合があるのです。

受取人が相続人でない場合の注意点

生命保険金は、受取人が相続人であっても、相続財産には含まれません。ただし、受取人が相続人でない場合、生命保険金は相続財産から完全に切り離されるため、相続人間の遺産分割に影響を与えないことに注意が必要です。

受取人が相続人でない場合、生命保険金は受取人の固有の財産となります。したがって、相続人は生命保険金を受け取ることができません。このような状況を避けるためには、受取人を相続人に指定するか、あるいは、遺言で生命保険金の分配方法を定めておく必要があります。

また、受取人が相続人でない場合、生命保険金は相続税の課税対象となります。受取人は、生命保険金を受け取った時点で、相続税の申告が必要になるのです。

生命保険金と相続税の関係

相続税の計算方法と生命保険金の取り扱い

相続税は、相続や遺贈により取得した財産に対して課税されるものです。生命保険金も、相続税の計算の対象となります。ただし、生命保険金には非課税枠や控除額が設けられており、一定の条件を満たせば、相続税が軽減される可能性があります。

相続税の計算は、次のような手順で行われます。まず、相続財産の合計額から非課税財産や債務・葬式費用を差し引いて、課税遺産総額を算出します。次に、生命保険金の非課税枠を差し引いて、生命保険金の課税対象額を算出します。そして、課税遺産総額と生命保険金の課税対象額を合計して、相続税の課税価格を算出するのです。

生命保険金の非課税枠は、受取人が法定相続人である場合に適用されます。非課税枠の金額は、500万円×法定相続人の数となります。したがって、法定相続人が多いほど、非課税枠が大きくなるのです。

生命保険金の非課税枠と控除額

例えば、法定相続人が受取人の場合、生命保険金の非課税枠は500万円×法定相続人の数となります。また、生命保険金の控除額は、500万円×法定相続人の数と、実際に支払われた生命保険金の合計額のうち、いずれか少ない金額となります。

つまり、法定相続人が3人の場合、非課税枠は1,500万円となります。そして、実際に支払われた生命保険金の合計額が2,000万円だったとすると、控除額は1,500万円となるのです。

このように、生命保険金には一定の非課税枠と控除額が設けられています。これらを適切に活用することで、相続税の負担を軽減することができるでしょう。ただし、非課税枠や控除額の適用には条件があるため、専門家に相談しながら、適切に対応することが重要です。

生命保険を活用した相続対策

相続人の保障と遺産分割の平等化

生命保険は、相続対策としても有効活用できます。例えば、相続人の中に未成年者がいる場合、生命保険金を活用することで、その子どもの教育資金や生活費を確保することができます。

被相続人が生前に生命保険に加入し、未成年の相続人を受取人に指定しておけば、被相続人の死後も、その子どもの生活を保障することができるでしょう。また、生命保険金は相続財産に含まれないため、他の相続人の遺産分割に影響を与えることもありません。

さらに、生命保険を活用することで、遺産分割の不平等を解消することもできます。例えば、被相続人の財産が不動産だけで、現金があまりない場合、不動産を売却しなければ遺産分割ができないことがあります。しかし、生命保険に加入しておけば、不動産を売却せずに、生命保険金を遺産分割に充てることができるのです。

相続税の節税効果

また、生命保険を活用することで、相続税の節税効果も期待できます。生命保険金は、相続税の計算上、非課税枠や控除額の対象となるため、適切に活用すれば相続税を減らすことができるのです。

例えば、被相続人が生前に生命保険に加入し、法定相続人を受取人に指定していた場合、相続発生時には生命保険金の非課税枠が適用されます。仮に法定相続人が3人で、生命保険金が2,000万円だったとすると、非課税枠は1,500万円となり、課税対象額は500万円に抑えられるのです。

また、生命保険金の控除額を適用することで、さらに相続税を減らすことができます。控除額は、500万円×法定相続人の数と、実際に支払われた生命保険金の合計額のうち、いずれか少ない金額となります。したがって、生命保険金の額を調整することで、相続税の節税効果を高めることができるのです。

ただし、生命保険を相続税対策に活用する際は、専門家のアドバイスを受けることが重要です。生命保険の種類や加入時期、受取人の指定方法などによって、節税効果が異なることがあるためです。

生命保険受取人指定の注意点

受取人変更の手続きと留意点

生命保険の受取人指定は、後から変更することも可能ですが、手続きが必要です。受取人変更の手続きを行う際は、保険会社所定の書類を提出する必要があります。また、受取人の同意を得る必要がある場合もあります。

受取人変更の手続きは、保険会社によって異なることがあります。したがって、受取人を変更する際は、事前に保険会社に確認することが重要です。また、受取人変更の手続きを行う際は、変更の理由や変更後の受取人について、十分に検討しておく必要があります。

特に、受取人を法定相続人から外す場合は、注意が必要です。法定相続人から外れた人は、生命保険金を受け取ることができなくなるため、トラブルになる可能性があるためです。

受取人の死亡時の取り扱い

受取人が死亡した場合の取り扱いにも注意が必要です。受取人が被保険者より先に死亡した場合、保険金は受取人の相続人に支払われます。このような事態を避けるため、あらかじめ代替受取人を指定しておくことも検討すべきでしょう。

代替受取人とは、受取人が死亡した場合に、保険金を受け取る権利を持つ人のことを指します。代替受取人を指定しておけば、受取人が先に死亡した場合でも、保険金を確実に受け取ることができます。

ただし、代替受取人の指定方法は保険会社によって異なることがあります。したがって、代替受取人を指定する際は、保険会社に確認することが重要です。また、代替受取人の指定は、受取人変更の手続きと同様に、書類の提出が必要になります。

このように、受取人の死亡時の取り扱いについては、様々な注意点があります。これらの注意点を踏まえて、適切に対応することが求められるのです。

まとめ

生命保険は、万が一の場合の保障だけでなく、相続対策としても重要な役割を果たします。生命保険金の受取人指定は、相続に大きな影響を与える可能性があるため、慎重に指定する必要があります。

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