国際相続 – 異なる国の法律が関わる場合の相続手続きや注意点

弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)

弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表

所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)

保有資格 / 弁護士

グローバル化が進む現代社会において、国際相続のケースが増えています。複数の国の法律が関係し、手続きが複雑になることがあります。ここでは、国際相続の手続きや注意点について詳しく解説します。

国際相続とは

これは、被相続人や相続人が外国に居住していたり、財産が外国にあったりするなど、複数の国の法律が関係する相続のことを指します。以下のような場合が考えられます。

  • 被相続人が外国に居住していた場合
  • 相続人の一部または全部が外国に居住している場合
  • 財産の一部または全部が外国にある場合

関係する国の法律が異なることがあるため、手続きが複雑になることがあります。

手続き

手続きは、関係する国の法律によって異なります。以下に、一般的な手続きの流れを紹介します。

1. 準拠法の決定

まず、どの国の法律に基づいて行うかを決定する必要があります。これを準拠法の決定と呼びます。一般的に、被相続人の最後の住所地の法律や、財産の所在地の法律が適用されます。

2. 相続人の確定

準拠法に基づいて、相続人を確定します。各国の法律によって、その範囲や配分が異なることがあります。

3. 遺言の有無の確認

被相続人が遺言を残していた場合、遺言の有効性を確認する必要があります。国際相続では、遺言の方式や効力が国によって異なることがあります。

4. 財産の評価と分割

財産を評価し、相続人間で分割します。、財産が複数の国に所在することがあるため、各国の法律に基づいて適切に評価と分割を行う必要があります。

5. 相続税の申告と納税

財産に対する税を申告し、納税します。複数の国で課税されることがあるため、各国の税法に基づいて適切に申告と納税を行う必要があります。

注意点

国際相続を行う際は、以下のような点に注意が必要です。

1. 各国の法律の違い

関係する国の法律が異なることがあります。相続人の範囲や相続分、遺言の方式や効力など、各国の法律に基づいて適切に手続きを進める必要があります。

2. 言語の違い

関係する国の言語が異なることがあります。書類の作成や手続きの際は、適切な翻訳が必要になることがあります。

3. 時間とコストがかかる

複数の国の法律が関係するため、手続きに時間とコストがかかることがあります。各国の専門家と連携しながら、効率的に手続きを進めることが大切です。

4. 二重課税の問題

複数の国で相続税が課税されることがあります。二重課税を避けるために、税務専門家の助言を受けながら、適切に税務申告を行う必要があります。

専門家の活用

国際相続は、複雑な手続きが必要とされるため、専門家の助言を受けることが不可欠です。弁護士や税理士など、この分野に精通した専門家に相談することで、適切な手続きを進めることができます。

専門家は、各国の法律や税法について詳しい知識を持っており、個々のケースに応じた最適な解決方法を提案してくれます。また、現地の専門家とのネットワークを活かし、言語の違いや時差の問題をクリアしながら、円滑に手続きを進めてくれます。

よくある質問(FAQ)

  • 質問アイコン準拠法はどのように決定されるのですか?

    回答アイコン

    国際私法(法の適用に関する通則法)では、原則として被相続人の最後の本国法が相続の準拠法となります。例えば、日本に永住している外国籍の方が亡くなった場合、その方の本国法が準拠法となります。ただし、被相続人が遺言で別の国の法律を指定することも可能です。

  • 質問アイコン遺言を作成する際の注意点を教えてください

    回答アイコン

    遺言作成では、複数の国で有効な「国際遺言」の活用を検討することが重要です。また、準拠法を明確に指定し、各国の遺留分制度にも配慮する必要があります。財産目録は定期的に更新し、関係国の公用語での作成も推奨されます。

  • 質問アイコン二重課税を避けるにはどうすればよいですか?

    回答アイコン

    二重課税の回避には、租税条約に基づく外国税額控除の活用が有効です。各国の課税制度の違いを考慮した財産配分計画を立て、必要に応じて生前贈与を活用することも検討します。早い段階で専門家に相談することをお勧めします。

  • 質問アイコン手続きにはどのくらいの期間とコストがかかりますか?

    回答アイコン

    一般的な手続きには、6ヶ月から2年程度の期間を要します。関係国間の書類のやり取り、財産の調査・評価、税の申告・納付などの各段階で時間がかかります。コストとしては、翻訳費用、専門家への相談料、各種証明書の取得費用、海外送金手数料などが発生します。具体的な金額は案件の複雑さによって大きく異なります。

  • 質問アイコンどのような準備をしておくべきですか?

    回答アイコン

    スムーズな手続きのために、以下の準備をお勧めします:
    財産目録を作成し定期的に更新すること、関係国の法制度の基本を理解しておくこと、相続人となる可能性のある親族に事前説明を行うこと、重要書類を整理しておくこと、そして信頼できる専門家を事前に確保しておくことが重要です。

  • 質問アイコンデジタル資産(暗号資産等)について教えてください

    回答アイコン

    デジタル資産では、資産の所在地特定やアクセス権限の継承が重要な課題となります。各国のデジタル資産に関する法規制は異なるため、専門家に相談しながら、適切な方法を検討する必要があります。また、デジタル資産の価値評価方法についても、専門家の助言を得ることをお勧めします。

まとめ

国際相続は、複数の国の法律が関係するため、手続きが複雑になることがあります。準拠法の決定、相続人の確定、遺言の有無の確認、財産の評価と分割、税の申告と納税など、各国の法律に基づいて適切に手続きを進める必要があります。

各国の法律の違いや言語の違い、時間とコストがかかること、二重課税の問題など、様々な注意点があります。これらの問題に対応するためには、この分野に精通した専門家の助言を受けることが不可欠です。

ますます増加することが予想されます。知識を深め、適切な準備を行うことで、スムーズに手続きを進めることができます。専門家と協力しながら、円満な相続を実現するよう努めることが大切です。

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