相続財産にはどこまで入る?相続される財産、されない財産について

代表弁護士 関口 久美子 (せきぐち くみこ)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号43125)
保有資格 / 弁護士

家族が亡くなると、通夜の手配から告別式、初七日と休む間もなく行事が続きます。

しかしその後、相続人はひと息つく間もなく亡くなった方(被相続人)の相続財産についてどうするかを考えなければなりません。

相続財産とは具体的にどういったもので、なにが相続されてなにが相続されないのでしょうか。

当事務所では知識と経験が十分にある男女4人の弁護士が、共同で様々な相続問題を解決しています。

弁護士の資格で迅速に財産調査をおこなうことができますので、少しでも不安があれば、できるだけ早くご相談ください。

相続財産とは

相続人は、相続開始の時から「被相続人(亡くなった人)の財産に属した一切の権利義務」を承継します(民法896条)。

この「財産に属した一切の権利義務」を一般的に「相続財産」や「遺産」といいます。

以下、この「相続財産」について、以下の3つに分類し、説明していきます。

  1. プラスの財産の例
  2. マイナスの財産の例
  3. 相続財産に当たらないものの例

1. プラスの財産の例

プラスの財産とは、いわゆる財産価値のあるものを指します。

以下、その例をみていきます。

不動産

不動産とは、宅地や居宅、山林や田畑、貸家や貸地などの土地や建物です。

相続に関して、問題になることが多い相続財産の代表です。

その理由は、財産価値が高いことが多いことや、単純に分割できないこと、価値の評価も難しいことなどです。

不動産上の権利

家や土地を、賃料を払って利用する権利は賃借権(借家権や借地権)と呼ばれ、相続財産に入ります。

相続財産に入るため、被相続人(亡くなった方)が土地などを借りていた場合、その賃借権は借主である被相続人が死亡した時に相続人に引き継がれます。

また、この賃借権の相続には貸主が同意するかどうかは関係ありません。

ですから、借主である被相続人が死亡したとしても、それを理由にすぐに立ち退く必要はありません。

金融財産

金融財産とは、現金や預金、有価証券や株券、国債や社債、債権や貸付金などです。

商売上の売掛金や手形債権も含みます(ただし、名義人が被相続人個人のもの)。

動産

動産とは不動産以外の財産です。

自動車や家財道具、美術品や骨とう品、宝石や貴金属などです。

その他

著作権、特許権、ゴルフ会員権なども相続財産に入ります。

ただし、ゴルフ会員権によっては「会員が死亡した時にその資格を失う」と会則などで決められている場合があります。

その場合には相続財産に入らないので注意して下さい。

相続財産

2.マイナスの財産の例

見落としがちですが、借金など「負の財産」も相続財産に入ります。

以下、例を挙げていきます。

支払債務

借金や買掛金、手形債務や裏書債務、振出済み小切手などの支払債務は、相続財産に入ります。

公租公課

未払の所得税、住民税、固定資産税などの税金は、相続財産に入ります。

預り金の返還債務

預かり保証金、敷金などの返還債務は、相続財産に入ります。

連帯保証人としての地位

被相続人が連帯保証人であった場合で、かつ債務が完済されていない場合、その連帯保証人としての地位を相続人が相続することになります。

3. 相続財産にならないものの例

次に、相続財産とならないものの例をみていきます。

相続財産とはならなくとも、相続税の課税対象になる場合がありますので、注意してください。

みなし相続財産

まず「相続財産とはならなくとも、相続税の課税対象になる場合」について説明します。

生命保険金や死亡退職金について、民法上は相続財産としないが相続税の課税対象となるものを「みなし相続財産」といいます。

相続についての考え方が民法と税法とでは違うため、このように取り扱います。

この「みなし相続財産」は、ある一定の金額までは非課税となります。

非課税となる金額は、生命保険金と死亡退職金ごとに以下のように定められています。

  • 生命保険金非課税限度額=500万円×法定相続人数
  • 死亡退職金非課税限度額=500万円×法定相続人数

この限度額を超えた部分は、相続税の課税対象となります。

受取人が相続人となっている生命保険金

保険契約者が被相続人であって、かつ受取人が相続人であるケースが問題となります。

この場合、生命保険金は保険金の受取人固有の権利とみなされる、つまり保険金の受取人となっている相続人のものとなり、民法上の相続財産には入りません。

しかし「みなし相続財産」となり、相続税の課税対象になります。

生命保険金については、保険の形態により相続税の対象や贈与税の対象となるので、注意が必要です。

受取人が指定されている(かつ、受取人が被相続人自身でない)死亡退職金

被相続人の死亡退職金について、受取人が被相続人以外の人に明確に指定されている場合は、指定されている受取人固有の権利とみなされ、民法上の相続財産には入りません。

つまり、指定されている受取人のものとなります。

しかし生命保険金と同様、受取人が相続人である場合は、その死亡退職金は「みなし相続財産」となり、相続税の課税対象になります。

祭祀(さいし)財産

祭祀財産とは、家系図や仏壇、位牌、墓地や墓石などのことです。

相続財産とは別個のものとして扱われます。

香典・葬儀費用

香典は、遺族(特に喪主)に対する贈与とされており、相続財産となりません。

葬儀費用も、相続開始後に発生した費用ですので相続財産とはなりません。

しかし葬儀費用については、相続において避けられない支出であることから、相続税の計算において債務控除の対象とされています。

一身専属権

被相続人にしか行使できない権利や義務のことを一身専属権といいます。

たとえば、弁護士や司法書士、税理士等の資格や国会議員や県会議員などの身分のことです。

こうした資格や身分は相続されません。

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