相続財産の調査-もれなく正確に調査するためには
相続が開始すると「誰が相続人か」と同様に重要なのが「何が相続財産なのか」です。
しかし被相続人はすでに亡くなっているわけですから、直接聞くことはできません。
従って残された遺族で調査することになりますが、もれなく調査するにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは相続財産の調査とそのコツについて、わかりやすく解説していきます。
当事務所では相続問題の経験が豊富な男女4人の弁護士が、チームを組んで事務所全体で問題を解決します。
相続財産の調査は、その後の相続をどうするかに大きな影響があります。
後になってわかっても後戻りができないことがありますので、慎重に行う必要があります。
どうぞお気軽に私ども相続の専門家にご相談ください。
相続財産調査とは
相続財産調査とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた財産が、どこにどれだけあるかを調査することです。
被相続人が生前に目録を作成していれば調査はかなり楽ですが、目録を作成した後に価値が変わったり処分したりすることがあります。
この場合でもやはり相続財産調査は行ったほうがいいでしょう。
また被相続人と同居していたような相続人が正直に他の相続人に相続財産を知らせないこともあるなど、独自に相続財産調査をすることが大事な場合もあります。
財産ごとの調査方法とコツ
それでは、以下の財産について、それぞれの調査とコツについて詳しく説明します。
- 不動産
- 預貯金
- 株式や投資信託
- 生命保険
- 貸付金などの債権
- 借り入れなどの債務
(1) 不動産
①固定資産税の納付書の確認
土地や建物の所有者は固定資産税を納めなければならず、その納付書が毎年所有者宛に郵送されます。
その納付書を確認します。
②名寄帳の確認
所有物件が数個にまたがっているような場合がありますので、役所にある名寄帳(固定資産課税台帳や土地家屋課税台帳とも呼びます)も確認したほうがいいでしょう。
名寄帳は課税対象の固定資産(土地や建物等)を所有者ごとに一覧表にしたものですので、確認もれが防げます。
③実家の不動産の調査
実家の不動産も調査したほうがいいケースがあります。
遺産分割協議が完了していない場合や、完了していても登記や役所への届が済んでいない場合は、納付書は代表相続人のところに送付されるだけで、他の共同相続人のところへは届きません。
遺産分割が未了であったり、相続登記がされていなかったりしていても、その不動産の相続分も今回の相続財産となるので注意が必要です。
【調査のコツ】
固定資産課税通知・納付書をしっかり探す、日頃から被相続人がどこに不動産を持っているかなどの情報を得ておくことが大事です。
やはり実家の所有関係(相続が済んでいるかどうかも含めて)も生前に確認しておきましょう。
名寄帳の確認は便利ですが、その役所の行政区域にある不動産しか記載されていません。
他の市町村の不動産は名寄帳では判明しません。
(2) 預貯金
個人で全国の金融機関等を複数同時に照会する手続きは、現在のところありません。
しかし口座のありそうな金融機関に対し、個別に口座有無の確認はできます。
①通帳の確認
通帳の確認が一番簡単ですが、発見して終わりではありません。
直近まで記帳がされていればいいですが、記帳されていなければ相続人の1人として残高証明を発行してもらいます。
②キャッシュカードやインターネットバンキングの確認
最近は無通帳が他の預金口座も増えていますので、キャッシュカードやインターネットバンキングの記録などの確認も必要です。
弁護士であれば、弁護士会照会という方法で生命保険や金融機関、証券会社などに横断的に照会をすることができます。
これにより財産調査が漏れにくくなります。これは弁護士だけに可能な方法です
【調査のコツ】
- 遺産分割協議書への記載
特定しきれない時に備えて、遺産分割協議書に「別の口座が判明したら、別途協議する」と記載しておくのも一つの方法です。 - 亡くなるまでの引き出し記録のチェック
また残高だけでなく、亡くなるまでの間の引き出しの記録も重要です。
その引出が、被相続人の意向に沿ったものなのか、相続人の1人が勝手に引き出したものなのかで相続分の計算が大きく変わります。
(3) 株式や投資信託
株式や投資信託を所有していれば、証券会社や信託銀行からの通知があります。
その通知を確認します。
基本的には預貯金と同じです。
生命保険
保険証券を確認します。
保険証券が見当たらない場合には(最近は紙の証券はなく、ネット上で確認する契約も増えています)、ネットの接続状況や保険料の口座引き落としがないかを確認することで判明する場合があります。
【調査のコツ】
受取人がどうなっているかで、相続財産に含まれるかどうかが変わります。
受取人が誰になっているかも確認しましょう。
(5) 貸付金などの債権
- 法人に対する貸付金
被相続人が法人の代表者や役員の場合、資金繰りの関係で会社に貸付をしているケースが多々あります。
法人に対する貸付金も相続財産で相続の対象となりますので、注意しましょう。 - 他人(個人)に対する貸付金
もちろん、他人に対する貸付金も相続財産です。
【調査のコツ】
生前の会話の中で情報を得ておくことも大事ですし、身近な相続人であれば会社の決算書などにも日頃から気を配っておきましょう。
(6) 借入などの債務
借用証書や返済の振込票を確認します。
個人の通帳からの引落も大事な手掛かりです。
借入先が判明すれば、相続人の立場で残高証明や返済履歴の請求が可能です。
【調査のコツ】
自己の借入の場合と違い、連帯保証債務などは家族に隠しているケースが多いです。
口座からの振込先が借入先でない時や聞いたことのない振込先だった場合、よく調査しましょう。
相続財産調査の最大のコツ
相続人の相続財産調査の最大のコツは「弁護士など相続問題の解決経験が豊富な専門家に依頼すること」です。
弁護士には財産調査の経験やノウハウが豊富だけでなく、職務上認められた調査をする権利があります。
何がポイントとなって相続問題に発展したのかについて深い知識があります。
普通の人なら一生に何回あるかないかの相続についての相談を数多く受けていますので、弁護士への相談をお勧めします。
まとめ
相続財産の調査をもれなく行うには、法的知識だけでなく実際の相続問題の解決経験が必要です。
相続問題を数多く解決してきた当事務所へどうぞご相談下さい。
当事務所は相続問題に詳しい男女合計4人の弁護士が、チームとなって相続問題に取り組みます。
各々の弁護士がそれぞれ意見を出し合い、漏れの無い相続財産調査からその先の相続方法まで親身になって提案します。
気軽に相談していただけるよう、夜9時まで電話を受け付けています。
またわかりやすく費用を設定しており、支払い方法も個々の状況に合わせ柔軟に対応します。
初回相談は60分まで無料ですので、どうぞ気軽に当事務所までご相談ください。