遺産分割協議書とは何か-その役割と作成時のポイント-

代表弁護士 関口 久美子 (せきぐち くみこ)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号43125)
保有資格 / 弁護士

相続の場面でよく耳にする「遺産分割協議書」ですが、何のために作成するのでしょうか。

また、どういった点に気をつけて作成すればいいのでしょうか。

今回はその「遺産分割協議書」の役割と作成時のポイントについて、わかりやすく解説していきます。

当事務所では相続問題で必要な専門性を十分持った男女4人の弁護士が、チームを組んで話し合い解決しています。

他の相続人が持ってきた遺産分割協議書に何もわからないまま印を押すことは、最低限法律で認められている相続分を放棄することになるかもしれません。

法律で認められている相続分を求めることは決して悪いことではありません。

少しでも不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、遺産相続が発生した時(被相続人が亡くなった時)に遺言書がない場合、あっても不完全な場合に、相続人全員でおこなう「遺産分割協議」という話し合いの内容を明らかにするために作成する書類のことです。

遺言書があっても、相続人全員の合意により遺言書の内容と違った形で遺産分割をおこなうこともできます。

ただしこの場合も、遺産分割協議を経て遺産分割協議書が作成します。

遺産分割協議書の役割

遺産分割協議書には次のような3つの役割があります。

  • 合意に関する後のトラブル防止
  • 遺産分割の内容をはっきりさせる
  • 相続手続きをすすめる上での必要書類

以下、詳しく解説していきます。

合意に関する後のトラブル防止

遺産分割協議は相続人全員で合意する必要があります。

しかし、いったん全員で合意したのに、相続人の一部が後になって合意していないと言い出すと、争いが蒸し返されることになります。

そのような事態を避けるため、合意内容をはっきりと書面に残し相続人が署名捺印して後のトラブルを防止します。

相続人全員で合意した記録を残すわけです。

遺産分割の内容をはっきりさせる

被相続人の遺産には、不動産や預貯金、自動車や株券などの有価証券から家財道具など様々なものがあります。

相続人が複数いれば遺産分割はさらに複雑となります。

そこで遺産を分割する際、遺産分割協議書を作成して、どれを誰に相続させるかをはっきりと文書に残します。

そうすることで後々のトラブル防止にもなります。

相続手続きをすすめるうえでの必要書類

相続手続きをすすめるためにも、遺産分割協議書の作成が必要になります。

相続手続きによっては当事者の合意だけでは終わらず、さらにその後の手続きが必要なものがあります。

最も代表的なものは、相続したという登記が必要になる不動産です。

相続により名義を変更する際、その手続に遺産分割協議書が必要となります。

他にも預貯金の払い戻し、有価証券の名義書換にも遺産分割協議書が必要です。

遺産分割協議書を作成する際のポイント

実際に遺産分割協議書を作成するには守らなければならないポイントがいくつかあります。

相続人の数だけ作成、全員が所持

遺産分割協議書は相続人全員で合意したことを証明する文書です。

法的には規定されていませんが、相続人の数だけ作成し(もちろん内容は同じものです)、それぞれ全員が持つことを強くおすすめします。

相続人それぞれがすぐに自分で確認できるメリットがあるからです。

また、一部の相続人が原本を持つことで心理的に優位に立つことも防ぐことができます。

署名・実印押印

遺産分割協議書の本文は、自筆の必要はありません。

ですから、パソコンで作成しても全く問題ありません。

しかし、以下の点には気をつけてください。

  • 相続人の住所や氏名は必ず自署(自分で書くこと)でおこないましょう。
    →各相続人が合意したことを証明するためです。
  • 署名の後の押印は実印で押印し、印鑑証明書を添付しましょう。
    →後に争いとなった時の証拠能力を高めるためです。

被相続人と相続人の記載

財産を残して亡くなった本人(被相続人)は重要です。

被相続人の本籍地、最終住所地、生年月日、死亡日を間違いなく記載します。

相続人の記載も必要です。

相続人全員の住所、氏名、生年月日、被相続人との関係を記載します。

相続財産と分割方法の明示

相続財産が何であり、どう分割するのか、誰が相続するかを明確に記載します。

たとえば、

  • 遺産が不動産の場合
    「自宅土地・建物」では不明確です。不動産の登記の「全部事項証明書」の「表題部」と呼ばれる部分の記載を書き写します。
  • 遺産が預金の場合
    「○○銀行○○支店 普通預金口座番号○○○ 口座名義人亡○○」まで記載します。
  • そのまま現物分割で相続する場合
    「相続財産○○は△△が相続する」と記載すれば足ります。

そのほか、共有分割(相続人の間で共有とする方法)や代償分割※で相続する場合は、その内容も記載する必要があります。

※代償分割:一部の相続人に遺産を相続させる代わりに、その遺産をもらった相続人がもらわなかった相続人に代償金(相続分に当たるお金)を支払う方法

遺産目録の作成

相続財産が多岐にわたるときは、わかりやすいように遺産目録を作成するほうがいいでしょう。

遺産の内容と評価額をまとめて表の形式で記載します。

作成時には不動産、現金、預貯金、株券など有価証券などの項目ごとにまとめて記載し、評価額も忘れず記載します。

まとめ

遺産分割協議書を作成するには、法的な知識が必要です。

作成が不十分であれば一からやり直さなければならず、分割手続きもそれだけ遅れることになります。

やはり相続問題の専門家である当事務所へ早めのご相談をお勧めします。

当事務所は相続問題を数多く解決してきた男女合計4人の弁護士がチームを組んであなたの相続問題に取り組みます。

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